暗黒魔王と新人魔王、2柱の魔王でお送りする『あんしん魔王講座』は、『でたとこサーガ』をより楽しく遊ぶため、さまざまな悩みに答えるサポート記事です!
第五回目のテーマは「オリジナルシナリオ実践編」。公式シナリオをもとに、「オリジナルシナリオ」を実際に作っていきます。オリジナルといっても身構える必要はありません。公式シナリオをアレンジするだけでもできちゃうんです!
(文:神谷涼、イラスト:グラゲイダー)

「よし、今回は前回の実践と行こうではないか」

「実践?」

「前回のように、公式シナリオを改造してみるのだ!」

「え、ええっと? 敵NPCの内容を変えるってことですか?」

「うむ。ついでに軽ーく、シナリオ自体も作ってしまおうではないか!」

「軽くって……(汗)」

「シナリオもセッションも軽いことが、このゲームの取り柄だからな! さあ、やってみるがよい」

「やってみろって……」(あせあせ)

「では、リプレイにもなった余のシナリオ『暗黒魔王降臨!』(基本P88)を使ってみよ。敵NPCの配置を変えながら、シナリオは作ってゆけるぞ!」

「あうう(結局、決めてるし……)」

考えること10分。
『でたとこサーガ』の敵NPCデータから、ボス推奨のものを眺めつつ考える新人魔王。慣れない内は敵NPCについて、掲載されているデータをそのまま使う方が気楽だ。

「うーん、じゃあラスボスは『邪神』(基本P118)で……」

「おお、決まったか。では、邪神がどんなラスボスか、『ラスボス立場表』(基本P71)で決めるがよい」

「ええっと……選んで決めてもいいんですよね?」

「無論だ。はじめから立場を決めているなら、それを優先せよ」

「そういうわけでもありませんが……『封印』にします」

「なるほど。封印から目覚めつつある邪神か。定番だな」

「世界は実は休眠状態の邪神の上にあって、目覚めた邪神の体の一部がモンスターになって地下から溢れて来るんです。中ボスは『大蛇』(基本P116)あたりで……」

「ふむふむ」

「ノーマルは『スライム』(基本P114)で、精鋭モブは『ローパー』(基本P113)で……《まる呑み》と《束縛》をいっぱい使いましょう」

どちらも、クラス『モンスター』の攻撃スキル。
PCよりも、NPCが使うといやらしい攻撃だ。

「……ど、どういうストーリーなのだ?」(汗)

「活性化した邪神の一部がスライムやローパー、大蛇として地面からにゅるにゅるとですね」(にこにこ)

「ま、まあ、わからんではないが……『でたとこフロンティア』でスライムにいたぶられた身として、それは……」

「モブは『兵士』(基本P112)ですよー♪ ローパーに寄生されて操られるんです!」

「お、おう……(汗)」

「触手……寄生……倒された時の描写はどうしましょうか……」

「ほどほどにしておけ。おそらく参加PLはそんな想定をしておらん」

「あっ、思いつきました! 最後に邪神を倒すと、邪神のバッドエンドがそのまま世界の運命になるんですよ! 世界滅んじゃうかも……」(わくわく)

「……開始前、そのあたり、伝えた方がよいぞ。シナリオシートに書いておくとよかろう」

「えー。最後の最後でそうなっちゃうから、おもしろいのにー」(ぶー)

「せめて途中の通常シーンなりで教えておけ。救ったつもりで世界を滅ぼしては、PLもショックだろう」

「それがいいんじゃないですかぁ」(にこにこ)

「魔王としてはよいが、GMでそれはいかんぞ……ヒントはあからさまなくらい出せ」

「いいアイデアだと思ったのに……」(むー)

「アイデアはよい。アイデアはよいぞ。だが、最後の最後でいきなりでは、理不尽であろう」

「はぁ……」

「ポジティブな驚きは与えてもよいが、ネガティブな驚きの要素はなるべく先に教え、PLに心の準備をさせよ!」

「はぁい。それじゃシナリオシートにちゃんと書いておきますー」(ぶー)

「やれやれ……とりあえずこれで、オリジナルシナリオはほぼできたな」

「ですね〜♪ さっそく今度やってみます!」

「本当に、ほどほどにな……」

あからさまにダーティーな新人魔王のシナリオ!
果たして実際のセッションはどうなるのか!
思い通りにならない実セッションの顛末はいかに!