【参加可能スタンス】
○敵視 ○宿命 ○憎悪 ○雲上 ○従属 ○不明
【サイクル】
PL人数が2人なら2、3〜4人なら1
【ラスボス】      英雄魔王
【ラスボス立場】    犠牲
【ラスボスクラス】   勇者/魔王
【ラスボスポジション】 悪の化身

【ラスボス概要】

その男はかつて英雄だった。
光を凝集したような金色の髪に、凛とした佇まい。
その姿は誰の目から見ても正義だった。
今や輝いていた金髪は汚れて濁り、
その身は闇のオーラに包まれている。
そこには英雄の面影はなく、
魔王となった彼を止められる者はいない。
しかし、その魂は、いまだに英雄でありつづけようとする。

【舞台メモ】

英雄によって魔王は討ち倒され、世界は平和を取り戻した。
しかし、魔王の根源というべき混沌の闇は健在だったのだ。
討伐の代償は大きかった。英雄の仲間は力を失い、そして英雄は魔王の闇に飲まれ、新たな魔王となった。
英雄の身体と魔王の魔力。その力は先代の魔王を遥かに上回り、すでにいくつもの国が滅ぼされた。
かつての英雄とはいえ、情けはかけられない……。

【敵NPC戦力表】 (PL2人)基準戦力点26/26

 種別 人数           名称など
ラスボス  1 英雄魔王(本記事参照:レベル10+4=14:体力基本値80)
 中ボス  1 黒騎士[黒騎士(『DS』P117)レベル3+4=7:体力基本値10)]
ノーマル  2 呪い×1(『DF』P104)
キマイラ×1(『DS』P115)
 モブ  5 ソーサラー×1(『DS』P113)精鋭モブ
スケルトン×2(『DS』P112)モブ
オーク×2(『DS』P112)モブ

【敵NPC戦力表】 (PL3人)基準戦力点20/20

 種別 人数           名称など
ラスボス  1 英雄魔王(本記事参照:レベル7+2=9:体力基本値60)
 中ボス  1 黒騎士[黒騎士(『DS』P117)レベル4:体力基本値15)]
ノーマル  1 呪い×1(『DF』P104)
 モブ  5 ソーサラー×1(『DS』P113)精鋭モブ
スケルトン×2(『DS』P112)モブ
オーク×2(『DS』P112)モブ

【敵NPC戦力表】 (PL4人)基準戦力点28/28

 種別 人数           名称など
ラスボス  1 英雄魔王(本記事参照:レベル8+6=14:体力基本値80)
 中ボス  1 黒騎士[黒騎士(『DS』P117)レベル5+2=7:体力基本値20)]
ノーマル  2 呪い×1(『DF』P104)
キマイラ×1(『DS』P115)
 モブ  6 ソーサラー×2(『DS』P113)精鋭モブ
スケルトン×2(『DS』P112)モブ
オーク×2(『DS』P112)モブ

■略号
DS:ルールブック『でたとこサーガ』
DF:ルールブック『でたとこフロンティア』

中ボス、ラスボスは参加人数に合わせたレベルに成長させてください。

これは1レベルのPCに合わせた戦力です。成長したPCでセッションを行う場合、基準戦力点の増加分だけ敵NPCを増やすか強化し、ラスボスも適切なレベルに上昇させてください。

† NPCのRP †

このシナリオには以下のNPCが登場します。

・賢者「なんとか、あいつを助けてやってくれないか」
背景NPC。かつての英雄の仲間です。
魔王を討伐した時に魔力を使い果たし、すでに戦うことはできなくなっています。
彼が闇に堕ちた後も英雄の意識をなくしていないことを知っており、英雄の意識に呼びかけて彼を助けてほしいとPCに助力を乞います

・オーク「いくどー!」
モブ。魔王軍の一員として使役される立場です。
短絡的な性格で、数が多いときは余裕を見せ、PCが活躍したら怯えて情けなくなる描写をするとよいでしょう。

・ソーサラー「魔王様にたてつく愚か者どもめ」
精鋭モブ。魔族の魔法使いです。
魔王軍に刃向うものには容赦なく攻撃してきます。PCには魔王の強大さを語り、抵抗することは無駄だと嘲笑うような高慢な性格として演じるとよいでしょう。倒された時には、死体から闇の残滓が剥がれて消えるような描写をすると、闇の魔力の脅威を強調できます。

・キマイラ
ノーマル。魔王軍に飼われている魔獣です。魔王を倒すために進撃しているPC達に襲い掛かってきます。
中ボスの黒騎士と一緒に登場させる場合は、PCに対する試練として扱うとよいでしょう。

・呪い
ノーマル。闇の魔力によるPCへの呪いです
魔王軍が侵攻した土地に残された闇の魔力という設定にすれば、どこで出現してもおかしくない敵です。不可視であり、意思の疎通はできません。PCに圧し掛かるプレッシャーや、魔王軍に歯向かう者の生命を奪う魔法の一種などとして演出するとよいでしょう。

・黒騎士「ダメだな。その程度では……あいつは救えない」
中ボス。かつての英雄の仲間で、魔王を討伐した時に肉体を失い、黒い甲冑に魂だけを宿しています。
PC達のことを最初は力の弱いひよっこだと見下していますが、戦闘を重ねてPC達の成長を見届けます。見下すには無理のある設定のPCがいるなら、今の魔王の強さを強調し、さらなる鍛錬を積むよう促すようにするとよいでしょう。

・英雄魔王「はやく、僕を殺してくれ……」『我は魔王……すべて、滅びろ!』
ラスボス。魔王の闇に汚染された、かつての英雄です。
新たな魔王として世界を侵略しているものの、ますかに残る英雄の意識が魔王としての覚醒に歯止めをかけていて、不安定な状態です。PCと遭遇した際には、英雄の意識が表に出て、自分を殺すようにと懇願しますが、じきに魔王としての意識に乗っ取られてしまいます。
尊大な口調での会話中に突然苦しみだしたり、英雄の口調に戻ったりするとPC側にも英雄魔王の不安定さが伝わりやすくなります。

【オープニング】

戦闘シーン(ボス登場なし)です。
敵NPCはソーサラー(精鋭モブ)をリーダーに、PCのレベルアップに必要な敵NPCを登場させてください。英雄魔王の手下であるソーサラーが、かつての英雄の仲間である賢者(背景NPC)が住む村を襲っています。スタンスによりますが、PCは討伐のために魔王の元に向かっていて、何らかの理由で村に立ち寄ったことにしてください。もしくは、賢者を訪ねたところで襲撃に巻き込まれたことにしてもよいでしょう。

PCが襲撃を止めようとすると、もしくはPCに姿を見咎められると、ソーサラーは部下と共にPCに襲いかかってきます。このとき、賢者は戦闘に関わることはありません。先の魔王討伐の際に魔力を失ってしまっていて、激しい戦闘ができなくなっているのです。

PCが戦闘に勝利すれば、賢者から「魔王にはまだ英雄の意識がのこっていて葛藤している。力を失った私の代わりに勇者を助けてやってくれないか」と頼まれます。また、魔王を倒した際に闇の魔力に汚染されないようにと、護符を授けてくれます。これは、魔王の本体は闇の魔力であり、ただ倒すだけではPCが英雄魔王のようになってしまう危険性があるため、賢者がこの日のために準備していたものです。
その他、ラスボスの背景として伝えておきたいことがあれば、賢者の口から語らせておきましょう。中ボスである黒騎士の伏線として、「共に戦った仲間の戦士が居たのだが、英雄が魔王と化してしまった時には姿は見えなくなってしまった」などと触れておいてもよいでしょう。

【シーン進行】

オープニング後の幕間で、特殊条件の説明をします。
通常シーンでの【キー判定】に判定値10以上を(PL2人:2回、PL3人:2回、PL4人:3回)達成することができれば、クライマックスで英雄を救うことができることをPLに話をしておいてください。
【キー判定】の判定値10以上を達成した時には、より英雄との縁の深い物品を見つけたり、英雄の心に深く語り掛けることができるようになる情報やきっかけを与えるようにすると、クライマックスでの裏ボスを出す状況を描写しやすくなります。

【戦闘シーン】

途中に挟まれる戦闘シーンは、敵NPCの数を減らすためのものとなるでしょう。
中ボスの黒騎士が登場する戦闘シーンでは、勇者の真意を確認するRPをしながらの特訓や修行のような描写をしましょう。
それ以外のノーマル・モブとの戦闘シーンは、魔王討伐の妨害で襲ってきたという演出をしましょう。
キマイラは黒騎士と一緒に登場させる場合には、黒騎士の護衛として登場し、それ以外のNPCと登場する場合には、刺客として登場させましょう。

中ボスの黒騎士との戦闘シーンでは、1ターン目は《バーサーク》2ターン目は、1ターン目の《バーサーク》を回避したPC一人に《武勇》《必殺技》《完全奇襲》で攻撃をします。敗色濃厚となったら1度だけ《衝撃の真実》を使用します。
黒騎士は鎧だけの存在で、中身がありません。PCの攻撃などで、鎧の一部が欠けたり、兜が割れ落ちるような演出をすれば、黒騎士が人間ではないことがわかるでしょう。
中ボスを倒した後に、ラスボスが呼び出された場合、英雄魔王は、1ターンだけ戦闘した後、姿を消します。これは、魔王は幻影だった。分身を放っていたなどの理由をつけるとよいでしょう。

【通常シーン】

状況と選択された【キー判定』ジャンルにより、以下の内容となります。各状況については、記載冊子の『通常判定パック』を参照ください。【キー判定】で選ばれたジャンルが『推奨』でない場合、『基本』のいずれかを『推奨』とします。

◇当シナリオで使いやすい通常判定パック◇

◎オープニング後
★襲撃者   (『DS』P81):『感覚』『交渉』『肉体』
PCに襲い来る刺客たち。こんなところで立ち止まってはいられない。

★特訓    (『DS』P83):『肉体』『意思』『技術』
英雄魔王を倒すためには、さらなる鍛錬が必要だ。

★情報収集   (『DS』P82):『交渉』『感覚』『知識』
かつての今の二人の魔王について聞き込めば、共通点が見えてくるのでは。

★図書館    (『DS』P85):『知識』『感覚』『肉体』
魔王の闇について文献を当たってみよう。有効な対抗策がみつかるかもしれない。

◎中ボス勝利後
★潜入     (『DS』P84):『技術』『感覚』『交渉』
なるべく戦闘を避け、ひそかに英雄魔王の元へ近づけ!

★魔の誘惑    (『DS』P80):『意思』『知識』『交渉』
魔王が放つ闇の魔力は、罠のように心を揺さぶり、その意思をくじく。

★伝説の武具   (『DS』P85):『知識』『意思』『技術』
かつての英雄たちが使用した武器。それは魔王を倒すにも役に立つはずだ。

◎クライマックス前
★決意の時     (『DS』P80):『意志』『肉体』
魔王を倒すには連携が欠かせない。皆の心を一つにしよう。

★説得     (『DS』P82):『交渉』『意志』
魔王の中の英雄に呼びかけよう。声が届くかもしれない。

【クライマックス】

残った敵NPC全てとの戦闘シーンです。
魔王の侵攻する最前線、あるいは魔王城の玉座で、完全に魔王と化した英雄がとの戦闘です。
PCが英雄の意識に語り掛けようとしても、その声は届きません。
PCが3人以上なら、英雄魔王は行動回数のうち1回だけ、《極大魔力》を使用してPC全てに攻撃をします。
判定値が低かった場合は、《希望の光》を使って積極的に【判定値変更】を行い、ダメージを高めましょう。
英雄魔王が《聖剣》や《希望の光》などの『勇者』のスキルを使う際には、魔王が英雄の力を悪用している描写をして、挑発的な台詞を吐くとよいでしょう。
特殊条件を満たしている場合、ラスボスは裏ボスに変更し、描写をしてから戦闘を始めましょう。

●英雄魔王
クラス:勇者/魔王
レベル: ※前述の敵NPC戦略表を参照
体力: ※前述の敵NPC戦略表を参照

《勇気》 SR【 】 常時/意思/− あなたが戦闘シーンで行う友情判定は、判定値が〔SR〕上昇する。
《聖剣》 SR【 】 行動/肉体/− 攻撃〔判定値+1〕。『魔王』『ドラゴン』に対して攻撃〔判定値+3〕。
《希望の光》 SR【 】 誘発/肉体/− あなたが『判定値変更』で判定を振りなおした時、使用可。判定値を〔SR÷2〕分上昇させてよい。
《圧倒的存在》 SR【 】 行動/意思/− 攻撃〔判定値〕。対象は受けた体力ダメージ分、気力も減少させる。
《極大魔力》 SR【 】 誘発/知識/フラグ+SR あなたが『攻撃』を宣言した時、使用可能。あなたは攻撃の対象を〔SR〕体、追加で選んでよい。
《強者の余裕》 SR【 】 対応/知識/− 防御〔判定値−3〕。この防御は気力ダメージに対しても有効
《悪の化身》 SR【 】 行動/意思/− 攻撃〔判定値−1〕。〔与えたダメージ÷3〕点だけ、あなたのフラグは減少する。

英雄と魔王の間で揺れ動く。半ば暴走気味にPC達に攻撃をしけかる。

【裏ボス】

特殊条件を満たしたら、PCとの会話中に、突然魔王が苦しみ出し、その身体から闇の塊が噴き出します。

「魔王、僕は……お前にはならない。負けたりしない!」

PCの尽力と英雄の強固な意志によって引き剥がされた魔王の闇は、しだいに巨大な人影を形作り、真の魔王としての本性を露わにします。PCは、新たな依代を求める魔王の思念に真っ先に狙われます。邪神(『DS』P118)のデータを使うとよいでしょう。

【エピローグ】

魔王を倒せば、英雄ごと魔王の思念も消滅します。英雄は、PCに「ありがとう」と感謝の言葉を口にして息を引き取ります。
裏ボスを倒している場合、魔王の思念だけが消滅し、英雄は一命を取り留めます。
ボスのバッドエンド、そして各PCのスタンスを意識しながら、各PLに自身のPCが後日どのように過ごしているか、申告してもらいましょう。
PLの希望を聞いた上でふさわしい状況をGMが用意してください。その後の世界の様子なども演出しておくとよいでしょう。
今回の舞台を用いて次のセッションを作るなら、魔王の思念は完全には消滅しておらず、新たな依代を得て復活する話などができるでしょう。